crow 48 blue.png



zero fighter blue shinning.png



























横浜の農業

来種を使い、無農薬野菜を作り、販売している内藤さん。野菜の栽培について、在来種、無農薬の作物の味の違い、農業の未来などを、実際の野菜を前にお話をうかがいました。

2018年8月11日(土) 14:00〜16:00 Art Space 赤い家にて
登壇者:内藤泉(青葉グリーンファーム代表)
司会進行:今井紀彰(参加作家)

都筑アートプロジェクト2018 米からアート - はじまりはじまり
はじまりはじまりチラシ表.jpg米からアート_はじまりはじまり2.png


有機農法で野菜づくり

今井紀彰:こんにちは。暑い中、ありがとうございます。実行委員の今井といいます。今日は、よろしくお願いします。前からぼくがファンだった、お百姓さんの。お名前を。

内藤泉:内藤泉です。

今井:内藤さんは、有機農業を、ずっと、青葉区と愛川町でしたっけ。

内藤:そうです。愛川町と、いま、やっているのが泉区です。

今井:ええ。

内藤:まあ、ちょっと監修を含めてやっています。

今井:監督みたいな?

内藤:ええ、まあ、監修、そんな感じです。

今井:今回、全体の話をしますと、ぼくたちは「米からアート」というテーマで、参加作家が米に関して、お米という漢字からそれをキーワードにして、秋に向けて作品を作っていこう、というプロジェクトの一環でして。今日はですね、そのお米のほうを、お米だけでなくて、いろんなものを作ってらっしゃるんですけど。その、実際に手を使って足を使って、この土からものを作るというお仕事をされている方の話を聞きながら、参加作家は、そこからなにかイメージするものがないか、というようなことを考えているし、実際に興味を持って、僕も持っていて、内藤さんにお手伝いをさせてほしいとお願いしているんですけど。どこかでタイミングがあったら、実際やってみたいことでもあったし、実際やっていらっしゃる方が(今日は来て)いらっしゃるとおもうので、一回いろいろな話を、ざっくばらんに、おうかがいできればとおもっています。よろしくお願いします。

Naito_Imai.png内藤:よろしくお願いします。ちょっと、いま、簡単な紹介だけします。青葉区で農業というか、いま、販売のほうが、ほとんどになってしまいまして。有機農法で野菜を作れないものかということで、慣行栽培じゃなくてね、有機農法でやろうということで。

今井:慣行栽培というのは?

内藤:慣行栽培というのは、化学肥料を使って栽培する方法ですね。要するに、一般的によく使われている栽培方法です。そういう農薬とか肥料を使わないで、ちゃんとしたものができるかできないか、疑問符を持ったまま、いまから30~40年ぐらい前ですね。その時に、まだ有機栽培という栽培方法を、ぼくは全然知らなくて。生協に入ったのが、もう、いまから30年前ですけれど。14年ぐらい勤めて、いろんな人と知り合いまして。それから、その有機栽培という栽培方法を初めて知ったんです。

今井:生協では、どんなお仕事をされていたんですか?

内藤:最初は、やはり、配送とか、そういうかたちだったんですけど。だんだん、その、野菜のバイヤーみたいなことを始めまして。そっちのほうで、移転してきて、野菜を仕入れるほうの担当になりました。また、その仕入れる担当のほうで、いろんな人とのつきあいが増えてきまして。そのまた、増えてきた人が、また、個性のある人たちで、今まで出会ったことのない人たちばっかりで。そういう人たちを含めて、有機栽培とはどういうものか、無農薬野菜とはどういうものか、初めて知りました。それから、しばらく、滋賀県にいる、お百姓さんネモトユウキチさんが、紫頭巾という枝豆を作っていたんです。その枝豆が、みなさん見たことがないぐらいの大きい枝豆で、(樹の高さが)人の身長ぐらいあります。樹の大きさが親指以上あります。その中は、粒が大きくて紫色をしているんですね。黒豆の一種なんですが、ネモトさんと出会ったのが、有機栽培のほうにどっぷりつかったきっかけです。

今井:それは、味がおいしかったんですか?

R0132564.pdf内藤:めちゃくちゃ、うまかったですね。品種が珍しいというか、樹が、枝豆がどのぐらいの大きさになるのか、はっきりよくわからなかった時代(頃)ですから、みなさんよりも、もっともっと、野菜とかに疎い時代(頃)だったとおもいます。何もそういうことを考えずに、そこに入って、枝豆を食べた時に、感謝、感謝というか感激で、もう、涙が出るぐらいにおいしかった。その時に、枝豆を持ち帰って、家で植えてみたのですが、何度も何度もやっても、同じものができないんです。それは、やはり、なぜかということを突き詰めていく。(彼に)ひきずられて、(有機農法に)はまり込んでいく(きっかけの)一つだったんです。ネモトさんと出会ったのが、この「内藤泉」をつくったきっかけだとおもいます。ネモトさんは、自然栽培ではないんです、有機栽培なんで、自然の仕組みをよく理解しながら、自分たちの農業をすすめていこうという、昔ながらのやり方をやっていたんですね。たとえば、肥料を作るには、みなさん、なにかこう、その辺のものを集めて、土の中に埋めておけば、肥料ができるとおもっている方もいらっしゃるとおもいます。肥料の作り方も、正直、よくわからないとおもいます。鶏糞とか牛糞とか馬糞とか、いろいろ動物性肥料もあるんですが、そういうのを使って肥料にしていくというのはわかるとおもいますが、それをどういうかたちで、どうやって入れていくかということは全くわからないとおもいます。

ぼかし肥料、菌の世界
今井:時期とかですか?

内藤:もちろん、そうです。時期も、配合の仕方も、そういうのをだんだんやっていくうちに、すごく楽しくなっちゃって。その方は、馬糞とか牛糞とか動物性肥料は使っていないんです、ぼかし肥料というのを使ってまして。ぼかしってわかります?わからないとおもうんですよね。なかなか、ふだん聞かないタイプ(の言葉)だとおもいます。常在酵母菌を含めて、人参酵母菌というのを作るんですが、それを糠とか油かすと一緒に混ぜて、菌を増やしていくんです。その菌を巧く利用して、栽培する方法なんですね。

今井:元の菌というのは、この空中に在る菌のこと?

内藤:ぼくが使っているのは、人参酵母菌という酵母菌を使います。

今井:種があるんですね?

内藤:種は、自分で作ります。人参の一番上の部分なんですけれど、3㎝ぐらいの部分に青いものがあるのはご存知だとおもいます。みなさん、その部分を食べないで、捨てちゃうとおもうんですね。その部分は、酵素がすごく含まれているんですね。その酵素を擂りおろして、砂糖水の中に少し漬けておきます。そうすると、ぶくぶく泡が立ってきますので、それを糠に培養していきます。それは、夏にはやりません、冬にやります、他の雑菌が入る可能性があるので。それを培養して、作っていったのが、ぼかし肥料なんです。

今井:どうして、ぼかしっていうんですか?

内藤:いろんなものを、ぼかしていく。要するに、菌の世界でいうと、ぼかしっていうのは、いろいろ、ものを変えていくというのを、ぼかしというんですけど、糠を肥料に変えていくんですね。

今井:発酵させるという意味合いがあるんですか?

内藤:発酵は別です。発酵というのは、微生物が活発に動けば動くほど、熱が出ますので、それを発酵というんですが。

今井:変化する?

内藤:そうです、変化していきます。その菌が、先ず、最初に作る菌を、ぼくらは人参酵母菌といっているんですが。EM菌は、みなさんご存知だとおもいます。EM菌も同じです。ぼくが使っているのは、人参酵母菌です。

今井:ご存じない方も、いらっしゃるかもしれないんですが。

内藤:そうですね。EM菌というのは、いまよく売られている菌で、やはり、ぼかし肥料でよく売られています。自分たちが食べたものとか、それから、草とか、残滓ですね。残滓の上にかける、コンポストの中にいれるものですね。中に入れると、残滓が腐るのではなく、分解されていくんです。発酵していくんです、発酵して分解されていきます。その時に、いろんな菌があるんですが、その代表的な菌がEM菌です。ぼくらが使っているのは、人参酵母菌という酵母菌です。味噌に使われている菌と、ほとんど変わりません。醤油に使われている菌も同じです。お米もお酒もみんな、ぼくらの世界では、菌なしでいけないぐらい、菌の世界に頼っています。その一つです。その一つが、今日持ってきた酵母菌なんですね。匂いを嗅いでもらうと、すごくわかるんですが、味噌みたいな匂いがします。匂いだけでも、もしよかったら。

今井:あ、どうぞどうぞ、いいですよ、みてください。触ったりしても大丈夫ですか?

内藤:手に触っても大丈夫です。全然、きたないものじゃないので。

R0132578.pdf今井:今井:食べてもいいんですか?

内藤:食べちゃ、まずいです(笑)。

今井:食べないようにしてください!

参加者:いい匂い。

内藤:すごい、味噌みたいな匂いがするでしょ。

参加者:お味噌の。あ、ほんとうだ。いい匂い。

内藤:これが、ぼかし肥料という肥料です。

参加者:これ、肥料?なんか、食べれそう。ほんとだ。

内藤:食べるには、もっといろいろと、こう、しないとだめですね(笑)。

参加者:おいしそう。ひつまぶしみたい。

内藤:この匂いが出ると、酵母菌がちゃんと活動しているというサインになります。これが腐ると、すごい臭いです。それで、雨水に弱いんですね。ですから、雨水にかからないように、上に蓋をしながら、いろんなものの残滓にかけて、肥料を作っていきます。

今井:外で作るんですか?

内藤:もちろん、外で作ります。シートをかけて、大量に作るものですから、一回に大体1㌧近く作ります。

今井:1㌧って、どのぐらいの量ですか?具体的にいうと。

内藤:そうですね、この部屋(赤い家の展示室25㎡)ぐらい、ありますかね。これを手作業で全部、こう掻き混ぜます。それで、発酵すると掻き混ぜて、発酵すると掻き混ぜて、10回ぐらいやります。それで、(ぼかし肥料を指しながら)こうゆう状態になった時点で、畑にまいたり、それを残滓の上にのせたりして、分解していきます。ですから、ぼくらが使っている野菜とか塵とかなんかは、ほとんど分解されてしまいます。分解できないものも、実はあるんです。魚の骨とか肉の骨は、分解しません。魚の骨とか肉の骨とかダンボールとかは、また菌が違います。みなさんがよく知っている竹薮の中に、ハンペンというのがでるとおもうんですが、みたことあります?

今井:なんですか?それは。

内藤:それも菌なんです。ハンペンという菌があって、セルロース、つまりダンボールなんかを溶かす菌です。その菌は、ダンボールと一緒に混ぜておくと、ダンボールがきれいに土になっちゃいます。それによって、いろんな分解物が発生しますので、また、それはそれで肥料として有益に使えます。あと、この他に、珈琲の糟を使います。珈琲糟というのは、実をいうと抑制効果がある、要するに、野菜を育てないんです。でも、珈琲の糟は、すごくいいんです。それを使えるようにするのに、一回この(ぼかし肥料)の中に入れて、発酵させます。そうすると、珈琲の糟に含まれている、ちょっと名前を忘れちゃいましたけど、横文字はすごく長いんです。それを、要するに、分解して、肥料として使えるようにします。

今井:どういう効果があるんですか?珈琲に。

内藤:珈琲は、もちろん豆でローストしてあるので、顕微鏡で見ると細かい穴がいっぱい開いているんです。微生物の家になるんです。その、家になる、微生物を、この酵母菌が中に入って、家になるわけです。そうすると、長く持続して使えるんですね。また、その珈琲糟が分解されると、燐が多く含まれています。凛が多く含まれているということは、煮物に対して、甘みが出るんですね。ですから、茄子とか胡瓜とか、そういうものに対して、すごく甘みを出すという効果があります。それもこれも、やはり、1~2年ではできないことで、3~4年ぐらいは最低でもかかります。

今井:土と混ぜてからですか?

内藤:はい。それが、巧く、巡回してくるようになると甘い。もう、茄子なんかでも、食べると林檎みたいな茄子が、生で食べると、林檎みたいな茄子ができるようになります。そうなると、樹も丈夫になってきますし、ものすごく活性化しますので、量もいっぱい穫れるようになります。そこまでいくのに、ちょっと時間がかかるとおもいます。特に、みなさんが茄子とか胡瓜とか植えられるとおもうんですけど、あの、ここに家庭菜園をやってる方いらっしゃいます?ちゃんと、できてます?ちゃんと、できてますって変ですけど、広い土地でやっていらっしゃるんだったら構わないんですが、狭い土地でやってると、連作障害っていうのが起きるとおもうんです。連作障害なんて、考えたことあります?連作障害って、どういう原理で起きるかわかります?

参加者:土の中の、ものによって、必要な要素とかが違うから、(それが)なくなってる土のところでやると、(連作障害に)なる。だから、順繰りにやれとか、本には書いてありますよね。

内藤:はい。ぼくたちというか、先ほどお話した滋賀県のネモトユウキチさんから教わった方法というのは、なぜ、その連作障害が起きるかっていうと、実は、ナス科は、茄子が好きな微生物がいっぱい集まってくるんです。それで、集まってきて、ものすごい根がはったところに、人間と同じで、皮が剥けてくるんですね。皮が剥けてきて、皮をそのままにしておくと、養分を吸い取ることができないんです。

今井:垢みたいなものですか?

内藤:そうです。それを、だから、一生懸命食べてくれる微生物が集まってきます。それで、集まってきてくれたやつが、そこんところに、どんどん増えていきます。増えていって、そのいっぱいになった状態で、また同じものを植えてしまうと、実をいうと、いったん死んでしまいます。というのは、他の養分も必要とするものが多いので、いったん死んでしまうと、海でいうと赤潮とか大潮になってしまうんですね、土の中が。要するに、窒息状態に変化しちゃうんです。その窒息状態を防ぐために、堆肥とか、それから、天地返しとかよくやれたらとおもいますけど、そうすると連作障害が起きなくて済むんですね。また、違うものをそこに植えると、違う微生物が、そのナス科の(微生物の)死骸を食べてくれるんです。茄子が好きだった微生物を食べてくれる。それでまた、土が浄化されていきますので、違うものを植えなさいというのは、そこにあるとおもいます。ぼくは、そういうふうに教わりましたけどね。それで実際、その中に酵母菌とか入れて、土を浄化して、それでまた、次のものを植えていく。ぼくがやっている畑では、連作障害は、ほとんど起きないです。ですから、ものによって、連作障害が起きそうなものは、あえてやらないんですが、ナス科でしたら、毎年植えても大丈夫です。それで、ナス科とか小松菜とか、いろいろ、ユリ科とか、いっぱいありますけど、そういうのも、ちゃんと勉強していないと、次のを植える時に苦労します。

参加者:あはは、知らんかったです(笑)。

自然農薬、虫とのたたかい
内藤:いえいえ(笑)。それで、ちょっと質問なんですが、この中で、ナス科を5つ以上言える方います?

今井:襟草さん!?

襟草(参加作家):トマト、じゃがいも、えーと。

今井:そうか、茄子だけじゃないんですね?

襟草:そう、茄子だけないんです。

今井:一人で5つは、無理そうだから。

一同:あはは(笑)。

参加者:ピーマン。

内藤:ピーマン、はい、そうですね。茄子、トマト、ピーマン、獅子唐、唐辛子、はい、まだいっぱいあります。もちろん、じゃがいももそうだし、全部同じ種類です。何処で見分けるかっていうと、花で見分けます。全く同じ花をしています。葉っぱは違っても、生るものが違っても、みんな同じ花です。それを覚えておくと、次に植えるものとか、狭い土地でも、いろいろな植物を植えることができます。みなさんが好きな、よく、苺なんかも、苺はナス科じゃないんですが、えー、苺は何科だか知ってます?

岡(参加作家):イチゴ科。

内藤:ふはは。苺はね、すごく種類が多い(科な)んです。それで、バラ科に属します。はい、もちろん、みなさんがよく知っているバラ科で、薔薇もそうなんですが、桜の花も、苺と同じ科です。

今井:桜も、バラ科なんですか?

Pieris_japonica2.jpgWikipedia「アセビ」より内藤:そう、バラ科なんです。ですから、つく虫が一緒です。科によって、つく虫が変わってきます。その虫を寄せ付けないようにすればいい話なんです。要は、バラ科って、すごく敵が多いんですが、つく虫が嫌いな匂いを、周りにまくことです。そうすると、そのバラ科の野菜につく虫っていうのは、なかなか、つきづらくなる。そうやって、無農薬野菜というのは作っていきます。それで、ぼくらは、無農薬っていっているけど、実際は自然農薬は使います。みなさんがよく知っている花で、馬酔木っていう花を知っています?馬酔木っていう花は、農家なら、必ず、あります。昔から、魔除けの草、要するに、馬が酔うと書いて、アセビと読むんですが、馬が食べても倒れてしまう、毒性の強い花が植えてあります。人が食べても、まあ、食べることないですけども、ちょっとヤバい花です。でも、食べることは、先ず、ないので、魔除けとして玄関口に、農家の人の玄関口によく咲いています。白い花で、垂れ下がるような花で、高さ的には、1m~1m50㎝、2mの、そんなに大きい樹じゃないです。

今井:自然に生えているものなんですか?

内藤:自然には、生えていないです。やはり、そういう具合で、魔除けに使う花ということで、昔は玄関口に、そういう草を植えるのは普通だったんでしょうね。それで、それを、全部、花を摘みます。その摘んだ花をお湯で煮出します。大きな鍋で煮出します。それで、その煮出したやつを、今度は、消毒の農薬として使います。自然農薬なので、効果は、すごく短いです。1週間から10日ぐらいで、ほとんど、なくなっちゃいます。それを、石けん水と一緒に散布したりとかします。そうすると、青虫なんかは、一発でなくなります。もう、いなくなっちゃいます。あと、みなさんがよく知っている、唐辛子、大蒜液、生姜液なんかも使用します。あと、もっと面白いのは、ダリアの根っこは毒性があるって知ってます?ダリアの根っこも、煮出して使用します。あと、毒性が低いですが、菌を抑制するために使うものもあります。たとえば、春咲く、土筆なんですが、土筆は菌を抑制します。ですから、土筆の胞子の青い部分がありますよね、あれを煮出しておいて、如雨露で、ずっと、まいちゃいます。そうすると、センチュウという虫がいるんですが、その虫の予防にも、かなり、役に立ちます。大根とかじゃがいもなんかに、穴をあけてしまう虫です。よく見ると、結構、細長くて、気持ち悪いんですけど、それが穴をあけてしまって、商品にならないんで、それは、一回使います。そういうかたちでは、(自然農薬を)やりますので、ほんとうの無農薬、自然栽培というと、ちょっと違うんですが、ただ、昔から日本でやられていた方法です。

今井:それって、虫が死ぬんですか、逃げるんですか?

内藤:ほとんど、逃げます。死ぬことは、先ず、ないんですね。

今井:じゃあ、毒性もないっていうか。

内藤:いや、毒性はあるんですけど。

今井:あ、そうか。

内藤:毒性は、あるんですけど、人を殺すようなことはありません。やはり、そういうものというのは、毒性が多少ありますので。ただ、化学薬品と違って、化学薬品というのは、自然に作られたものではないので、いったん身体の中に入り込んじゃうと、外に出る力がない、鍵がないんです。ですから、マーガリンがそうだとおもうんですが、マーガリンが、いったん口の中に入って、身体に取り込まれたら、外に出す仕組みがないんです。自然のものじゃないので、蓄積してしまうんですね。

今井:身体にそういう経験がないから、排出する機能がないということですか?

内藤:経験がないというよりは、身体自身が、それを出す仕組みがないんです。

今井:進化の中で、出合ってなかった?

内藤:出合ってなかった。要するに、進化よりもスピードが早い、そういうものを開発した。身体には良くない。マーガリンよりは、バターのほうが身体に良いというのは、みなさんよく知っているとおもいます。(バターに対しては)外に出す力がありますので、鍵がありますので。それで、化学薬品も同じです。化学薬品とか農薬というのは、植物が外に出す力がないので、蓄積しちゃうんですね。ですから、良くないといふうにいわれています。それで、種も同じです。いま、ぼくらが使っているのは、固定種でやるようにしています。

在来種=固定種
今井:固定種?

内藤:固定種。要するに、こういう野菜なんですが、種からとって、やるようにしています。だから、全体で、4割ぐらいしか、まだできていないんですが、これを、将来的には100%やろうかなとおもっています。

R0132565.JPG今井:じゃあ、種を自分でとるということですか?

内藤:そうです。自分でとって、それを、また次の世代に繋ぐ。いま、みなさんが食べられている野菜というのは、ほとんど、F1種だとおもいます。

今井:よくききますね、F1種。

内藤:はい。その種、種屋さんが作っている種ですね。F1種って、どんなもんだか知ってます?

今井:じゃあ、ご存知な方、どんどんいってください。


参加者:鶏で、F1というのがあって、家で飼っていたんですけど、雌がいるんですけど、(卵が)孵らない。

今井:鶏にもあるんですか?

参加者:うん、一代で終わりっていう。一代で終わるので、ぼくらは、F1っていっています。

内藤:うん、なぜ、一代で終わらせることができるかっていうと。

参加者:遺伝子操作ですか?

内藤:いや、それだけじゃないんです。

おいしい、小松菜?
今井:野菜も同じなんですか?

内藤:遺伝子操作やっちゃうと、大豆みたいになっちゃいますね、(遺伝子の)中に、いろんなものを組み込むことができるんで。農薬を組み込むこともできます。そういうんじゃなく、雄を作らないんですね。要は、同じ雄の雄しべを雌しべにつけないんです。えー、要は、雌しべは実を生らすことができるんですが、実を生らして、種にする時にですね、種無しの種を作るんです。要するに、無精卵の種を作る、無精卵の種を作るんです。それで、無精卵の種を作るってことに対しては、次の年は芽が出るんですが、その次の年は出ない。それで、出ても違うものになってしまうというのは、小松菜なら、小松菜と小松菜を掛け合わせるんじゃなくて、小松菜とかき菜を掛け合わせること。種類を別に、他種類の雄と雌を掛け合わせるんです。要するに、雑種です。雑種だとおもってもらっていいです、F1種は、雑種だとおもってもらう。それで、強い遺伝子のほうが先に出ます。たとえば、小松菜の遺伝子が強ければ、小松菜(の特性)が出ます。それで、かき菜の甘みとかやわらかさが、小松菜のほうに遺伝された部分で、かたちは小松菜になって、小松菜ができます。おいしいものができるというふうになるんですね。

内藤:ところが、次の年にその種を植えると、裏に隠れている遺伝子があります。その裏に隠れている遺伝子が出てしまうと、違うものができちゃうんです。要は、陰と陽になっていて、最初に強い遺伝子、たとえば、人間に例えると、女性が金髪の人で、男性が黒い髪の人だったら、黒い(髪を作る)遺伝子ができます。そうです、たしか、そうです。黒い髪の毛の人ができる。それが、次に(同じ女性が)子どもを出産する時に、黒い髪の他に、白い(金色の)髪(の子ども)ができます。それと同じように、植物も隠れていた遺伝子があるので、次の種を植えた時には、違うものができてしまうんですね。ですから、F1種っていうのは、次の年にやると、裏遺伝子が違うものを作ってしまう。だから、それを2世代、3世代続けていくと、もう、全然違うものができてしまうということですね。要は、何を掛け合せたか、よくわからないんですね、その辺は、種屋さんじゃないので。あれは、極秘らしいです。ですから、それを食べて、どうのこうのっていう話ではないんですけど、ただ、なんか嫌でしょう。なんか、小松菜じゃないよねっていうのは、種屋さん、ぼくの知っている種屋さんのほうもいってました。「これ、小松菜じゃないけど、小松菜で売るんだよね。でも、見た目は、小松菜なんですよ」だから、そういうので、それがちょっと嫌なので、なるべく固定種を使うようにしています。

今井:なんか、F1種っていけないものだとおもったけど、配合の組合わせによって、突出した特徴が初年度に出るっていう。

内藤:そういうことなんです。

今井:へえ。

内藤:みなさん、すごく誤解されている方が多くて、そういうものって、世の中にいっぱいあるんですね。だから、もしこういう機会で、少しでも頭に入れていただければ。別に、食べて、すぐにだめってわけじゃないんで。ただ、次の年に、小松菜じゃないようなものができる種で、また、小松菜を作るのは嫌だなっていう、それだけのことなんです。

今井:他の農家さんたちが、そういう、新しい組合わせの配合のF1種を使う理由って、どんなことがあるんですか?

内藤:はい、先ず、狭い土地でも、量をたくさん穫れるということなんです。

今井:強いんですか?

内藤:強いんです、雑種ですからね。

今井:あー。

内藤:はい。だから、強いということは、病害虫に強くなるということなんです。それであと、もう一つは、先ほどいった、甘みとかやわらかさとか、そういうのを追求していくうちに、そういう掛け合わせを、勉強、研究している人たちが作ってしまうという。だから、いろんな掛け合わせが、たぶんあるとおもいます。だから、F1種で、いろいろ種を作って、次の年に何ができるのかって、実験するのも面白いかも知れないです。

今井:あ、じゃあ、その組合わせがわかる可能性があるんですね?

内藤:まあ、全部は、わからないとおもいますけど。

今井:ええ。

内藤:ただ、それに近いものは、たぶんあるとおもいます。それを、たぶん、毎年毎年、考えながらやっているんだとおもいますけど、同じもの作っていくのもかなり難しいことです。種無し、雄しべのない花を作る方法で、やっているところもあります。要するに、雄しべが雌しべに受粉してしまうと、それ(F1種)ができないんです。ですから、雄しべをなくしてしまう。雌しべだけにして、違う雄しべを入れるというかたちをとる、種のとり方を研究しているんじゃないでしょうかね。まあ、詳しくは、わからないんですけど。だから、そういうものを口に入れること自体、ぼくには抵抗がありまして、それは、ちょっとやめようかなっておもってます。人の話になっちゃいますけど、やはり、いま、男性の種(精子)が少ないとか、女性の卵子が少ないとかっていう話になってしまう。それと、また、同じようなことなんですね。ですから、やはり、ちょっとその辺からは、少し(距離を)おいて、野菜作りをしたいなっておもう。

今井:食べているようなものになるって、昔から日本でもいわれているから、まあ、検証はできないけど。

内藤:そうなんです。

今井:現象だけ見たら、反対の方向には行ってないですよね?

内藤:そうですね、それは、たぶん、相当長い年月をかけないと、検証できないんじゃないかなとおもいます。ぼくが生きているか、生きていないかわからない。

野菜の味、野性の味
今井:固定種の野菜を作るよろこびとか、味の違いとかって、どんなことになってきますか?

R0132571.pdf内藤:固定種というのは、基本的に、苦みも渋みも甘みもあります。あと、堅さもあります。その分、食べ応えがあるって、変でしょうけど、味って甘みだけじゃなくて、酸味だけじゃないとおもいます。苦みも渋みも、やはり、酸味もね、全部ひっくるめて、味だとおもうので。それを、おいしく感じるということが、すごく大事なんじゃないかとおもいます。それで、家にくる小さいお子さんたちが、野菜をよく食べるっていうんですよ。ちっちゃい、やはり、1歳から産まれて、乳児食が始まって、5歳ぐらい(まで)の間に、自分の味覚を作ってしまうらしいですね、ぼくも、ちょっと詳しくわからないんですが。ですから、その間に、いろんなものを食べさせてあげられるということは、とてもいいことじゃないかとおもいまして、固定種を使うようにしています。それで、また、固定種のほうが、お金がかかりません。種代だけで、相当かかりますので。自分で作れば、種もそんなにかかりませんので。そういう面では、利点がある。ただ、発芽率は、かなり悪いです。ものによっては、30%ぐらいしか発芽しないものもあります。ですから、そういうものは、どうやって、これから、発芽させていくのか、どうやってやるのかと、ぼくらは、いま、いろいろ研究しています、勉強しています。まだまだ、やり初めて、そんなに経っていないので、7年ぐらい経っていないので、これからだとおもいます。

今井:発芽って、いきなり、種を植えて、それで、発芽させるんですか?お米とかって、別なところで発芽させますか?

内藤:はい。普通、地植えっていうのは、畑とかなにかに、点々で植えていって、地に植えてしまう。要するに、定植しない植え方と、定植させる植え方があります。

今井:定植っていうのは、そこでずっと育てる?

内藤:そうそう。そこで、ずっと、地植えにしちゃう。それは、基本的には、小松菜とかほうれん草なんかは、全部、地植えにします。それで、あれ、一本一本、定植していったら、大変なことです。それに、やっていられないです。ですから、そういうのじゃなく、たとえば、同じ小松菜科でも、キャベツとかブロッコリーとかは別のところで育てて、定植させます。それで、早めに育てることできるので、定植するのも一つの農業の方法としては、いいんじゃないかとおもってますし、もちろん、気温が高くなってきて、発芽率が高くなれば、地植えでやります。まあ、地植えでやるメリットもありますし、その温室の中でやるメリットもありますので、一概には、どちらがいいというのはいえないんですが。

今井:同じ品種でも、環境というか、その時期の季節によって、どちらを選ぶっていうのはできますか?

内藤:できます、できます。たとえば、玉蜀黍なんていうのの場合は、2週間置きに5回ぐらいまきます。その間はずっと、発芽期間なので、その間に定植をやっていくと、収穫する時に、順番に穫っていけるので、長い間、みなさんに食べていただけるってことができるので、それは、よくやるパターンです。要は、まあ、基本的にはね、その季節、発芽する季節はね、ほんとはね、温室じゃなくて、普通の常温でもって、発芽する季節でもって、芽が出て発芽する、実がつく温度でもって、実が生れば、一番身体にもいいはずなんです。それが、やはり、早めに食べたいと、もうちょっと、遅くまで食べたいという人たちのニーズに、ちょっと合せているんです。だから、冬に夏野菜は作ることは(家では)、先ず、ないんですけど、実は、トマトだけやっています。トマトは、なんか知らないけど、需要があってね、冬でも食べたいとおもうんでしょうね。実は、トマトって、夏野菜だっておもっていらっしゃる方がすごく多いんですけど、違うんですね。トマトは、実は、アンデス地方の結構標高が高いところで発見された野菜なんです。水はない、寒い、しかも、風が吹いている。いろんな面で、悪条件なところで発見された野菜だっていわれています。それを、要するに、ぼくらなんかが品質改良して、夏でも冬でも穫れるようにしたのが、実際。特に、日本人は、トマトが大好きなんで、トマトは、なるべく切らさないようにはしています。だけど、ほんとならね、季節に合せてやるのが、一番良いんです。

花がおしえてくれる
内藤:ちょっと、戻ります、話が。梅の花が咲きますよね、春先に、一番最初に。梅の花が咲く時に、梅の花をよく見た人はいます?きれいだなとおもうのは、みなさんおもうんでしょうけど、よくみたことあります?春先に。

今井:ないですね。

内藤:実はね、これも受け売りなんですが、滋賀県のネモトさんという方の。あの、梅の花って、とても頭が良いんです。雨の多い年には、下向きに咲きます。雨の少ない年には、上向きに咲く。要するに、梅は受粉する時に、まだ虫が動いていないので、虫を使って受粉することができないんですね。ですから、風を使って、受粉をします。ですから、風が吹かないと、受粉しないんです。そこ(花)に、雨水が溜まってしまったら、受粉できないんですね。ですから、雨の多い年には下向きに咲いて、雨の少ない年には上(向き)に咲くんです。それを、ぼくは、毎年毎日(家の梅の花を?)見ていて、やはり、そうなっています。来年、みんな見てください。そしたら、1~2ヶ月ぐらいの天気予報は予想できます。

参加者:そうすると、(梅が下向きに咲いた)そのあとに、雨が多いっていう予想を、(梅が)してくれるということなんですか?

内藤:そうなんです、(梅の)花が咲く時期に、ここから先が(上向きに咲いたら?)、実がつくまでの受粉する期間は、1ヶ月の間は雨が少ないよってことなんです。ですから、植えるものがわかります。その時に何を植えるか、雨の多い年には何を植えるか、先に植えるか。要するに、発芽する時に水が多い、好きな植物がいっぱいいるんです。それで、そういう植物を、先に植えるんです。そういうかたちで、植えるものを変えていったりとかはします。イヌフグリって知ってますよね。あの、紫のちっちゃな花が咲くんですよね。あの花が咲く時に、小松菜(の種)をまくと、小松菜に虫がつかないで、無農薬できれいに育ちます。ですから、そういう自然のものを、巧く、昔の人たちは利用して、食物を育てていったんですね。ですから、そういうことを、ちょっといろいろ勉強すると、とても面白いです。もし、そういうことがあれば、きいてください。ちょっとしたことは、わかります。

キノコの話
内藤:茸なんか、もう、話をすると、すごく長くなっちゃうんだけど、茸なんかも面白くて、茸は必ず陰と陽があるんです。食べられるやつと食べられないやつが、必ずあるんです、同じもので、おなじかたちで。それを見分ける方法とか、それが出る時期とかは、ちゃんと決まっているんですね。ですから、山に茸を採りにいく時は、きいてください。

Shiitakegrowing.jpgWikipedia「シイタケ」より今井:かたち、椎茸にもそういうのがあるってことですか?

内藤:椎茸にも、毒椎茸があります。

今井:同じかたちで?

内藤:はい、同じかたちで。

今井:見たことないですけど。

内藤:はい、それは、自然に生えている椎茸を見たことがないでしょう。

今井:ない。

内藤:ですから、区別がつかないとおもいます。

今井:よく、茸の百科事典とかには、かたちで紹介してあるけど、かたちだけじゃ判断できない。

内藤:判断できないです。茸っていうのは、光が当たるか当たらないかとか、それから、水が多いか少ないかとか、まあ、いろんな状況があって、いろんなかたちとか色になります。たとえば、椎茸なんかの場合、みなさんよく椎茸使いますでしょう。椎茸の菌って、クヌギとかクルミとかナラとか、みんな菌を植えるんですが、実は、椎茸の菌って何(の樹)でも生えます。松でも生えるし、杉でも生えます。それで、そういう、杉に生えた椎茸って、見たことがないとおもうんですが、色が違います。また、椎茸の餌になる、自分たちの肥料になる部分が少ないものですから、全体的に数が少ないです。一番多くできるのは、やはり、クヌギ、それと、あと、ブナの樹が一番良くできます。いま、原木を使わないで、菌床栽培をしてますが。

今井:菌床って、あの、樹に植えるっていう?

内藤:いやいや、そうじゃなくて、苗床を作っちゃうんです。その話をすると、また、長くなっちゃうんですが、それがね、もう、すごいんです。その苗床を作る中の肥料なんですけど、玉蜀黍とか魚の骨とかが入ってます。

今井:肉食ですか?

内藤:いえ、いや、いろんなものを肥料にして、それを(もとに)椎茸が作られるんですけど、もう、信じられないものが、いっぱい入ってます。それで、菌床椎茸は食べないほうがいいですよ。怖いです。菌というのは、周りにある栄養素を集めて、自分をどんどん膨らましていって、一つに集めていって、茸になるんですけど、茸自体が、他のものを集める習性があるんですね。ですから、放射能で、みなさんよく知っていますけど、菌に(放射性物質の反応が)出ちゃったでしょう。あれも、全部そうなんです。放射(性物質)は重金属ですから、重金属を集めちゃってるんですね。ですから、椎茸の菌床(栽培)は、まあ、できれば、食べないほうがいいんじゃないかとおもいます。やはり、原木のほうが、全然、安全です。それは、ちょっと余談ですけどね。

今井:菌床椎茸って、スーパーマーケットでも売っているんですか?

内藤:そうですね、はい。

今井:書いてある?

内藤:あります、全部、菌床椎茸って書いてあります。

今井:なんか、(身体に)いいことなのかっておもいましたけど、菌床って。

内藤:ぼくは、あんまり食べないですね。

今井:ああ、そういう原理でできているんですね。

内藤:まあ、菌床栽培で作っていらっしゃる方がいるので、ぼくの友だちがいますので、あんまり、強くはいえないんですけど。やはり、あまり、食べないほうがいいかなって、まあ、実感としてあります。そういうかたちで、いろんなものを作りながら、育てながらやっていますので、もし、なんか、そういうことがあれば、きいていただければ、大抵のことは答えられます。答えられないことがあれば、また調べて、みなさんにお伝えいたします。

種の話
今井:何かあります?いままでの話の中で、思いついたこととか。

参加者:さっきの種の話なんですけど、私はF1種が怖くて、一世代しか、そのものしかできないから、結局、人間もそれを取り込むと、結局、その子孫ができなくなっちゃう、私たちがそういう、種(しゅ)になっちゃうということを危惧している人が、私の周りにも多くて、なので、固定種とか在来種を、私も求めているんですね。私も病気をしたので、いろんなことを、ちょっと勉強していくと、やはり、もともとのものを身体にとったほうが、いまの時代って、結局、病気がどんどん増えていっているじゃないですか。その原因を、やはり、元を正すと、食というものに突き当たるじゃないですか。なので、そこを、私は一番気にしていて、種子法が廃案になっちゃったり、危険があったりというのは、怖いとおもっていて。

今井:その辺、いかがですか。

内藤:ぼく自身の意見で、良いですか?ぼくも、そうおもいます。やはり、わざと、種を出来ないようにして、違うものを配合させていくなんていうのは、自然界には、絶対にないことです。人がやることは、それが技術といえば、技術でしょう、発展といえば、発展でしょうけど。でも、自然界にないものを口に入れるということは、なんか、こう、違う気がしますね。やはり、自分たちで種を作ってまくのと、やはり、買ってきたものを、種屋さんが作った種をまくのと(では)、農家の意識が変わってきます。なぜかといったら、その種を一年間保存しなきゃいけない、半年間保存しなきゃいけないんです。その保存する方法すら、今の農家の人はわかりません。それを保存する方法とか、それから、昔の人たちは、それを、また、冬にとったやつを春先に食べないと、そういうことも、冷蔵庫も何もないのに、そういうことをしていけるわけでしょう。そういう、やはり、保存する方法っていうのも、いまの人たちは、ほとんど知っていないとおもいます。

今井:ただ、季節に買いに行くだけだから。

内藤:そうです。それで、季節のものが何かというのもよくわからない。いまだに、います。真冬に、茄子くださいとか、胡瓜くださいとか。ぼくらからすれば、半分笑っちゃう話なんですけど、それを、ちゃんと答えますけど。

今井:ぼくなんか、いってしまいそうですね。

内藤:ははは。季節のものが何かというのをわかっていないみたいで、苺の季節は何月ですかって聞くと、みんな、大体、11月と12月といいます。でも、苺の季節は4月なんです。そういうことも含めて、季節感が全くない。それを現実にしたのは、いまの技術でしょうけど、それも、いまいった種の技術と全く同じことで、人間が、やはり、みんな操作していることです。

今井:ぼくは、そういうこと、全然知らなくて、内藤さんとお会いしたりして、いろいろ知ってきたんだけど。だから、野菜の季節があるって聞いた時に、なんか、うれしかったですね、そうだったんだって。だから、知らない人にとっては、別に、嫌な話でなくて、自然のものだから、そういうもんだよねって。内藤さんに教えてもらいながら、野菜を買っていって、あれありませんかっていったら、あれは季節が終わったっていわれて、ほんとショックだったし、すごいうれしかったですね。

内藤:だから、そういうものを身体に入れないほうが良いとおもいます。やはり、冬は冬の野菜、夏は夏の野菜というのは、身体を温めたり冷ましたり、自分たちのバランスを取ってくれる野菜、野菜っていうのは一番、量を採りますからね。そういうかたちからすれば、やはり、季節の野菜というのは良いとおもいますし、とっても良いとおもいます。

キノコの話、ふたたび
今井:あの、さっき、お話しになっていた、茸の陰陽って、どうやって分かれていくんですか?種は同じと考えて?

Hypholoma_sublateritium.jpgWikipedia「クリタケ」より内藤:いや、違います、違います。全く、違うんですが、茸も、すごく頭がいいもので、食べられる茸と食べられない茸とが近くにあるんです。実はその、この辺でもよくある、茸で、クリタケというのはご存知でない方もいるとおもいますが、クリ、クヌギとか切り株があれば生えます。それで、そのクリタケというのは、クリタケがおいしいんです。それで、そのクリタケに、よく似ているのが、ニガクリタケっていいます。それは食べても、別に、死んでしまったりとか、なんか、こう、アレルギーが出たりとかしないですが、滅茶苦茶、苦いです。ですから、一回食べてしまうと、たぶん、1日、2日ぐらいは、苦さが残ります。そういう茸もありますし、ヌメリスギタケという茸があるんですが、これは、川口によく生えるんですが、ちょっと半円形の茸なんです。その茸が、また、すごくおいしいんですね。結構、生木に生えます。生木に生えるので、あれと一緒です、キクラゲなんかと一緒です。キクラゲなんかも、この辺、いっぱい生えますから。あの、生木に生えます。それで、それと全く同じ茸で、ツキヨタケという茸があります。それは、ぬめりがないんですけど、全く、かたちが一緒です。それは、結構、毒性が強いです。あと、茸によっては、お酒と飲むと毒性が出てしまう茸があります。あの、シメジの一種で、ヒトヨタケという茸があるんですが、全く、シメジと(かたちが)変わらないです。それは、普通に食べても大丈夫なんですが、アルコールと一緒に食べると、毒性が高くなります。ですから、息苦しくなってきて、呼吸困難が起きます。茸の場合は、ほとんど、すぐ(症状が)出ます。長く、ずっと、1年も2年も食べて出るというものではないので、大体、神経毒なんで、すぐ食べて、すぐ(毒茸か)わかります。食べちゃいけないですけど。でも、そういう見分け方をすれば、ほとんどの茸は食べられますね。

今井:じゃあ、食べてみないとわからないんですか?

内藤:いや、食べてみないとわからないのもあります。食べてみなくてもわかるものもあります、もう、慣れているものですから。それは、一回、茸狩りに行くとわかるんです。愛川の中津川とか、4~5人でツアー組んで行くんです。その時に、やはり、食べられる茸と食べられない茸と区別させます。

今井:行きたい方、いらっしゃいます?

内藤::いま、ちょっと流行っているんですね。別に、山の茸を食べて、どうのこうのというわけではなくて、ちょっと覚醒作用がある茸を食べるのが、流行ってるらしいですね。

今井:なんていう茸ですか?

内藤:それは、いえません!

今井:そうですか。

内藤:でも、ほわっとするらしいですよ。まあ、ぼくは、そんなのは全然興味がないので、食べないんですけど。そういう茸も、実際いうと、あります。

今井:椎茸に、同じかたちで毒性があるものもあるんですか?

内藤:あります。

今井:あれは、じゃあ、どうして。売っている椎茸の(原木)、ホームセンターなんかにも売っていますよね、種が植えてあるやつが。あそこにも生える可能性があるんですか?

内藤:ないです。

今井:なぜなんですか?

内藤:はい、菌がないからです。

今井:何の菌ですか?

内藤:その毒性の生えている、その椎茸にそっくりな茸の菌を持ってくれば、別です。

今井:じゃあ、菌というか、種類が違う?

内藤:そうです、全く違います。

今井:同じ菌、同じ種がこっちとこっちに行くのではない?

内藤:違うんですよ。全く同じ菌ではないんですが、毒性のある菌と毒性のない菌が、もとからちゃんといます。

今井:じゃあ、進化していく過程で、かなり近いところで、最後、分かれるんですかね?

内藤:イメージとしては、最初から違う種だとおもっていればいい。

今井:最初からですか?

内藤:はい、最初からです。

今井:じゃあ、偶然、かたちが似ていたということですか?

内藤:そういうことです。だから、茸も利口なものですから、いろいろなものを、食べられちゃ嫌なもの、鹿とかから食べられないように、そう、ぼくは毒茸だよっていうのをアピールして、一回食われるか食われないか、わかりませんけど、それを食べた鹿が、もしいるとしたら、その鹿は、そのかたちのものは食わないですから、そうすれば、椎茸の食べられるものも食べなくなっちゃう。

今井:チームワークなんですかね?

内藤:そういうことですね。だから、いろんなものが??だすんです。チームワークでいったら、(茸の)意志が疎通しているかはわからないです。そういうものは、結構いっぱいあります。

今井:面白いですね。

内藤:自然界って、みんな、そうなんです、バランスがあるんですね。そういうバランスを取りながら、いろいろと、こう、やっているのが多いです。

今井:どっちの種も、残っていける。

内藤:そうですね、そういうことです。


マイマスター、ネモトさん

今井:あの、お師匠さんって、いらっしゃいます?

内藤:あ、そうなんです。先ほど話した滋賀県のネモトさん。この方は、もう亡くなってしまいました。5年ぐらい前ですか。もう、だから、会うことはできない。でも、いろいろ、こう、教わりましたので、まあ、その辺、もし、みなさんが知りたいとなれば、酵母菌を作りたいとか、それから、馬酔木団子を作りたいとか、なんか、聞きたいことがありましたら、きいてください。いくらでも、情報は提供します。

今井:どんな方だったんですか?ネモトさんという方は。

内藤:もう、やせて、背が小さい人でね、兎に角、自然のことをよく知っています。

今井:ああ。どちらに居らしたんですか?

内藤:滋賀県で、琵琶湖のそばです。そこは、ものすごくいいところで、自然も豊かで、特に昔から食べられている野菜が、というか、そういうのに興味がある方で、いろいろ発掘しながらやっていた人なんですね。それで、江戸時代って、みなさん、結構、野菜って食べられていたとおもいます?その、ちょっと、受け売りなんですけどね、ごめんなさい。江戸時代の野菜って、いまの野菜と、そんなに変わらないとおもいます?というのは、どういうことかっていうと、大根や小松菜なんかは、実際いうと、ちゃんと頭の上に名前がついて、昔から作られているものが、結構、あるんです。たとえば、練馬大根とか、小松川の小松菜とかね、いろいろ名前が残っているものがいっぱいあります。堀川ゴボウなんかもそうです、全部、名前がついています。ああいうものって、昔から作られているものなんです。頭に何かついているものが、見つけられるとしたら、ああ、それは、昔の品種なんだなとおもっているといいです。みんな、そういうふうにして、名前がついています。それで、江戸時代っていうのは、八百屋さんがなかったんです。ぼくが、ちょっと調べたところだと、江戸時代っていうのは八百屋さんがなくて、野菜をなんていっていたかというと、青物っていっていたんですね。

内藤:ああ、青物って、たまにききますね。

内藤:ですから、青物として、野菜を収穫したんですけど、その中で、大根とか人参というのは、ほとんど、献上していないんですね。一般の人たちは、ほとんど、食べられていなかったんですね。それで、その、上の葉っぱの部分を食していたみたいですね。ですから、青物というかたちで、出回ったときいています。そういうのを、ちょっと雑学として覚えていると面白いかなと。だから、人参も実(根)を食べない、実は、たぶん、大名とかなんかが食べたんでしょうね。でも、葉っぱは、たぶん、一般庶民が食べていたんじゃないかと。でも、実際、栄養価は、実のほうよりかは、葉っぱのほうがありますから。そういうかたちで、なんか、いろいろ、こう、雑学を持っていると面白いかも。ちょっと、いま、ぼくは勉強中ですね。また、いろいろ発見したら、みなさんにお教えします。

今井:お師匠さんって、どんな方でしたか、人間的には?

内藤:何も、しゃべらないですね。

今井:じゃあ、なんか、習おうとおもっていくと、難しいタイプの方ですかね?

内藤:そうですね、ぼくが通ったのは、12~3年ぐらい通ったんです。それで、前の仕事が、土日が休みだったので、月に2回ぐらい行ってたんですね。それで、14~5年行ってたんですけど、何も教えてくれないです、最初のうちは。それで、結局、ぼくは、結構、大きな会社に、組織にいたもんですから、相手も、相手にしなかったんですね。

今井:最初、なんていって、訪ねられたんですか?

内藤:もちろん、だから、紫頭巾をみて、これを、特集を組めないかって、話を聞いたら、特集を組むほど、家はやっていないからって。先ず、そこをいわれましたね。

今井:特集っていうのは、生協の特集?

内藤:生協の特集です。

今井:なんとかコーナーみたいな?

内藤:そうです。たとえば、特別、紫頭巾とかって書いてあるとおもいますよ、それを作って出そうということだったんですが、それをブランドとして出そうとおもったんですが、できなくて、結局、量が穫れないから、それだけのニーズに合ったものが作れないとおもって。それを、だから、結局、断念したんです。でも、それがなんか、すごくおいしくて。もう、忘れられないんですわ。それで、何度も何度も行って、それを買っていって、食べて、それで、その人の作ったものを、やはり食べたい、何度も何度も足を運んでいる間に、自分でも作りたくなっちゃったんだよね。これ、自分でもできるだろうって。それで、実は、種をコソッとポケットの中に入れて。

今井:ははは。

内藤:それで、家で作ってみたんです。でも、何回やっても、1年目はソコソコできるんだけど、2年目が全然できなくて。それで、もう、土地が合わないのか、何が合わないのか。それを、自然的にやっていると、バレるんだよね。それで「どうだった?」って、( ネモトさんが)聞くんです。

今井:ああ、知ってらしたんですね。

内藤:そう「今年はだめでした」って。そうすると「だろうね」って、話になって。そこからですね、気持ちが、お互い、うまくいきはじめたのは。それだけ、しつこいやつもいなかったんでしょうね。まあ、それで、何度か何度か通っているうちに、その、酵母菌の作り方も教えてくれたし、それから、馬酔木団子も教えてくれたし、それから、さっきの梅の話も、それから、イヌフグリも、もちろん、それから、山菜が何ができると、何ができるよっていう話も、全部教えてくれた。それって、何処の県でも、何処の場所でも、全部通用するんです。なぜかっていったら、その辺に、いっぱい生えている。7月の何日に何を植えなさいとか、7月の何日に何を植えなさいとかっていう話じゃないんです。要するに、その花をみたら、やりなさい、その芽が出てきたら、何を植えなさいっていうことなんで。

今井:あ、環境を観察していると、月がわかる。

内藤::そう、時期がわかる、植える時期がわかってくるんです。だから、何処の県に行っても、何処の場所に行っても、それは通用する話なんです。ですから、とても、役に立ちました。ずっと、ネモトさんと話をしている間に、その茸の収穫の仕方とかね、茸の食べ方とか、たまに、覚醒するやつとかね。そういうのも教わって、楽しんでました。

今井:それって、メモをとりながら、きかれてたんですか?

内藤:いや、ほとんどね、ノートはメモってましたけど、ほとんど、頭の中に入れちゃいましたね。ていうか、頭の中に入るまで教えてくれるんです。だから、こういうことをいうと変ですけど、トリカブトなんかもこの辺にいっぱい生えています。丹沢のほうに行けば、いっぱい生えています。そういうものも含めてね、いいものも悪いものも、ちゃんと、やはり、区別を教えてくれたんで、ぼくとしては、すごい財産になりました。だから、みなさん、もし、そういうのがやりたいとか、わかりたいとかいうんでしたら、いくらでも、どうぞ、きいてください。わからないやつは、また調べます。そうですね、あとは、いまやっていることを、ちょっと話をしても良いですか?

今井:はい。


いま、やろうとしていること

内藤:ちょっと、長くなっちゃったんですけど、いまやっている仕事というのは、実は、ひとつ、ぼく仲介になりまして、農家の方っていうのは、販売するのは苦手です。それで、作るのも得意なんですが、作るというか育てるのが得意なんですが、いまの世の中っていうのは、かたちが揃っているものとか、きれいなものとか、それから、あと、大きさが揃っていないと、流通しないんですね。それで、かたちの悪いものとか、それから、かたちの変な、昔の種類でいえば、ツルクビカボチャだとか、それから、中太大根とか、そういうものとかっていうのは、流通しない部分が多いんです。また、地元しか食べられないものっていっぱいあるんですが、地元も流通できないものがいっぱいあります。足のはやいものとかなんかは、地元しか食べれないので、地元でしか消費できないものがいっぱいあります。そういうのを、ちょっと広めたいとおもいます。なにかっていったら、いま、流通にのるものっていうのは、たとえば、ズッキーニ、みんなご存知ですが、ズッキーニって細長いですよね。一つの小さい箱に、大体、14~5本入るんです。ところが、丸ズッキーニっていうズッキーニを、今年いっぱい販売したんですが、その丸ズッキーニは、すごくおいしいんです。でも、流通しないんです。なぜかといったら、箱に8つぐらいしか入らないんです。14本入るやつと、8しか入らなかったやつと、流通コストが全然違うんです。それで、全部、流通しないものもあるんですね。そういうものをつなげたいんです。地方のものを、こっちで、おいしいものを販売したいということと、同時に、いらなくなったものは、全部、土の中に返してしまうんです。要するに、箱に詰めて、流通に流すと、それだけでお金がかかってしまうので、そういうものを手間として排除しちゃう、土として戻してしまう。

内藤:でもね、おいしいものがいっぱいあるんですよ。ね、そういうものをつなげたいんですね。みなさんに販売するとかそういうことじゃなくて、お店屋さんなんかもそういうの欲しがる方がすごく多いんです。それで、また、育てている農家の方もそうなんだけど、そういうものを土に戻すということは、とても気持ち的に嫌なんですね。それを、だから、みなさんに分けられるシステムを作りたいなとおもって、この仕事を始めたんです。そういうつながりを、つなげていくので、少しずつ少しずつ動いています。酵素を作る方も、それから、あと、ジャムを作る方も、漬物漬ける方も、結構、いろんな方とお付き合いが始まりました。そういう人たちに、そういうものを、ほとんど無償で差し上げています。こっちに来る時に、積んでくればコストがかかりませんので。大量には困りますけど。もし、そういう方がいらっしゃるようでしたら、いってください。ただ、期間が短いんです。期間が短いので、その時に、欲しくないかってことをちゃんと決めてもらわないと、もう、次はないので。もし、そういうことは、フェイスブックのほうに載っけておきますので。そういうのは、欲しい方がいらっしゃれば、だれでもつなげていきます。畑に戻すよりは、みんなで食べてもらったほうが、農家の人もいいということなんで。そういう動きができるのも、やはり、産直ならではのことだとおもって、そういうことをね、ちょっとつなげていきたいなとおもってます。

内藤:それで、あと、いま作っている、作られている、育てている農家の方も高齢です。かなり、年配者が多くて、そういうところには、国の支援ってないんですよ。大きくするところは、機械やら、やれ何やらで、支援することはあるんですが、小さい農家を助けるという支援の仕組みは、日本にはありません。ですから、衰退していくしかないんですね。それで、そういう農家の方を、いま、支援しています。たとえば、収穫の手伝いになるとか、肥料を入れるとかっていうかたちをしてます。ちょっと、いろんなことが、ごちゃごちゃして、整理されていないんです、いまは。もし、そういう方がいらっしゃるんでしたら、ちょっとお手伝いしてもらいたいなとおもっています。それで、そういう方も、自分の山を、山というか蜜柑畑でも、そういうところを山に戻すのは、やはり、嫌なんですね。それで、また、それを草ぼうぼうにして、山に戻してしまうと、植物の茂みに動物が入ってきてしまう。動物もきれいに(草を)刈ってあるところは入ってこないので。たとえば、猪、鹿含めて、そうなんですが、ちゃんと手入れしているところは入ってこないんですね。でも、草がぼうぼうになっているところは、隠れる場所がいっぱいありますので、どんどん入っていきます。そうすると、もう、追い出すことができないんです。ですから、そういうところも含めて、ちょっとお手伝いとかなんか、いま、しているところです。だから、そういうところのつながりも、つなげていきたいなとおもっているところです。それができれば、もうちょっといいね、農地が残るんじゃないかなとおもいます。

自然農法
今井:一回(草が)ぼうぼうになって、動物が入っちゃうと、(また)畑にすることって、どのぐらい時間がかかるんですか?もしやったとしたら。

内藤:その畑によって、ですね。たとえば、梨畑や蜜柑畑とか、ああいう林檎畑とかになると、たぶん、相当、時間がかかります。それで、いったん、そういうふうにしちゃうと、戻すことはできないんですね。

今井:できない。

内藤:はい。一回、樹を切って、やり直すしかないんです。特に、梨なんかそうです。一回、梨の剪定がなくなると、梨は生らないです。それで、おれも、すごい実験したんですよ。前の畑の時に、梨の樹を植えたんですけど、梨って、無農薬ってできないかなって。

今井:無農薬で?

内藤:はい。農薬を使わないで、できないかなっておもって、梨の樹を何本か植えてやったんですけど、とても難しいです。

今井:どうなっちゃうんですか?

内藤:花がついても、枯れちゃいます。終いには、真冬に花が咲いちゃいます。

今井:本来、いつ咲くものなんですか?

内藤:です。真冬に花が咲いて、全部、落ちちゃいます。それで、実は、その現象が起きた時に、ちょうど、あの奇跡の林檎っていう、みなさん知っているとおもいますけど、あの人がその本を出した時に、おれ、本を読んだ時に、全く同じ現象なんですよ。それで、一回、おれ、会いに行きました。そしたら、やはり、下の地面が、しっかり根っこが張らなければ無理だといわれて。それには、やはり、5~6年かかるということなんで。

今井:あ、樹が若かったということ?

内藤:若かったというか、ちゃんとその、有機栽培でできる、無農薬でできる態勢を、先ず、樹がとらないとだめ。

今井:あー。

内藤:いままで、ずっと、(樹が)人を頼ってきて、自分たちが生存してきた部分を、今度は、自然の中で生存する部分に変えていかないといけない。だから、如何に、果実というのは、人の手が入っているかということなんです。それを、だから、自然界で、そういうものができるかっていったら、たぶん、なかなか、難しいんじゃないかなとおもいます。それを、実行していったのが、あの方なんでしょうけど。

今井:その方の作る林檎って、どこが奇跡なんですか?

内藤:まあ、あの、要は、農薬を使わないということ。さっきも、ちょっと、話した時に、バラ科というのは、梨もバラ科なんですけど、林檎もバラ科です。バラ科っていうのは、敵がすごく多いんですね。それで、敵が多いところを、無農薬で育てるということは、かなり難しいんです。それには、やはり、樹自体が、しっかり態勢をもっていないとだめです。その態勢をもっていない樹は、全部、枯れちゃいます。

今井:さっき、おっしゃってた、人参の上(の部分)を煮出してとか、そういうこともしないということですか?自然の、簡単にで構わないんですけど、自然農法と有機農法って、どう違うんですか?

内藤:一緒です。

今井:一緒ですか?

内藤:はい、自然農法っていうのは、自然の中でバランスを取りながらやっていきます。ですから、同じものを、全部、植えません。いろんなものを、点々と植えます。だから、茄子なら茄子をばあっと植えて、小松菜なら小松菜をばあっと植えるということしないんです。点々と植えていきます。点々と植えていって、そこで、その周りの草とか、周りの別の野菜とかなんかと含めてそうなんだけど、自分がそこから、こう、弱いものは、全部、淘汰されていく。強いものだけが残って、根を張っていきます。根を張ったものが、自然栽培です。ですから、不耕起栽培もそうです。耕さないんです。ですから、自然の中で、こう、育てていく。それによって、なぜ虫が食わないんでしょうかってこと。山の樹をみてもらうとわかりますけど、虫が食って山が枯れちゃったなんていうのをみたことがあります?その川縁(恩田川沿い)でもいいです、帰りがけに見ていってください。虫がいっぱい、います?いないでしょう?バランスが取れているんです。バランスが取れてれば、虫が入っても、そんな怖いことないんです。ただ、人って、結構、いろんなものを作りたいとか、こう、甘いものを作りたいとか、こう、やわらかいものを作りたいとか、いろいろ人間の野心でもって、こう、改良されたりとか、野心でもって、作られているものが多いので、そうなると、虫もそういうの、大好きですよね。それで、そういうところに集まってきちゃうんです。しかも、同じものがずっとあるということは、やはり、食べ放題じゃないですか。もう、おいしいもの、食べ放題で、虫からすれば、パラダイスですよ。それで、もう、違うものを植えるとしますよね、いま、ちょっと、みなさんがよくきくんですが、金盞花とか植えると、害虫が少なくなるとか、紫蘇を植えると、害虫が少なくなるとか、(虫が)嫌いな匂いって、必ずあるんです。ちょっと、戻りますけど、何科が何の虫がつくかって、わかっていれば、その虫の対策だけすればいいんです。余分なことしなくていいんです。余分なことで薬を使うことないし、余分なことで手間をかけることもない。その、何がつくかってことが、大事なことで、その、何がつく虫が何が嫌いかってことが、大事ことなんです。そこが、ちゃんと理解していれば、そんなに余分なことをすることはなく、育つことができます。

今井:じゃあ、その方の林檎は、組合わせというか、周りの環境を作ったっていうことですか?

内藤:そうです、バランスを取ったことです。

今井:他の、林檎以外の植物を植える?

内藤:いや、そうじゃなくて、その、先ず、態勢を作るってことですね。だから、その、林檎につく虫を、要するに、虫をちゃんと、こう、バランスを取ってくれる態勢を、先ず、作るってことです、地面に。

今井:地面に。態勢っていうのは?

内藤:だから、土を良くするとかね。

今井:虫をこないようにする?

内藤:根っこを、きちっと張らしておいて、そうすれば、ぼくらがそうだけど、風邪をひいている時に、なにかこう、他のものが病気として入ってきた場合、風邪以外のものが発症する場合がありますよね。同時に、樹も同じで、こう、弱っている時に、なにかこう、ものが入ってきた時には、すごく弱いです。だから、もう、滅茶滅茶弱っているところに、こう、虫で葉っぱを食われてしまえば、新陳代謝が、もちろん光合成も起こらないんだから、樹が弱ってしまいます。それを、ちゃんと読みながらの土作りが大事で、木村さんも、全く、無農薬ではないんです。農薬は使っていないんですが、両面散布っていうのをやっています。米酢となにかの酢を一緒に混ぜるんですね。その、混ぜて、それを散布しています。葉の裏と表を散布します。そうすると、酢っていうのは、ものすごく、元気にさせるんです、葉っぱをね。その酢を、両面散布して、その元気を先ずつけます。要するに、(虫に)負けないようにします。

今井:手間のかかりそうな作業ですね。

内藤:もちろん、手間がかかりますよ。それも、だから、普通ですと、一回かければ、1週間、2週間(かけなくて)いいものを、もう、毎日、1週間続けてかけるとか、2週間続けてかけるとかで、やってます。だから、ぼくが見にいった時には、でっかい機械でやるんじゃなくて、ホースを延ばして、機械を中に入れないでやっています。というのは、根っこを切らないようにしている。

今井:ああ、(機械で)踏んでですか?

内藤:そう。そこまで、気を遣ってやってましたね。ちょっとね、びっくりした。だから、ぼくらもそうなんだけど、足元、根っこがしっかりしているか、していないかで、ずいぶん違うとおもいます。栄養がちゃんととれるか、とれないか。

今井:土の中で、根っこが、こう、栄養をとっていくのっていうのは、どういうメカニズムというか。水を通して入っていくんですか?

内藤:ぼくらもそうだけど、栄養って、一言でいうのは難しいんですけど、いろんな養分が水に溶け込みますけど、その養分が、溶け込む養分を根っこで吸い取るんですが、それを手助けしてくれるのが微生物なんです。いろんなものを分解していって、その分解していったものを、ぼくたちが眼に見えない細かさになって、それが、養分として蓄えられます。それを、根っこがとるんです。それで、その根っこがとるんですが、さっきも言った通り、皮がついたままではとれないので、それをちゃんと食べてくれる、それをまた肥料にしてくれる。それの循環を、土の中で、みえないところでやってくれます。それをずっと続けていくうちに、だんだん、土が肥えていきます。

今井:ドクターフィッシュみたいのが、いつも、掃除してくれる感じですか?

内藤:そうです。ドクターフィッシュっていうとね、それに近いのは、ミミズですね。

今井:ああ。

内藤:はい、ミミズは、そのドクターフィッシュによく似ています。(ミミズは)食べたものを分解して、そのまた、微生物の分解できるまでの大きさにしてくれます。だから、役割は、みんな、決まってますので、この役割の決まっている役割を、個々にやっていって、樹の養分になっていく。また、樹が枯れてしまえば、微生物が分解していって。だから、バランスが良くないと、バランスが崩れてしまうと、ちゃんとした実は生らないとおもいます。

有機野菜と40人の仲間
内藤:ぼくらが、いま、40人ぐらいのグループでいるんですけど、みんなでよく話す事があるんです。有機野菜を、有機野菜として販売するなら、手間がかかってるんだから、そのぐらいの(高めの)値段にしちゃってもいいよねって、話がいっぱい出ます。ただ、そういう人たちに買ってもらうために、ぼくらが有機栽培をするんですかって、話なんです。それで、有機栽培って、いまだから、すごく、こう、無農薬野菜とか有機野菜とかっていう部分については、特殊なイメージがすごくあると思うんです。でも、こんなの、全然、特殊じゃないんです。そんなのね、全然、特殊でもなんでもない、昔に戻ってるだけなんです。それを。なんで。(仲間内で)そういうふうにいう人に、ぼくは、いうんですけど、なんで、それを、高く売らなきゃいけないのか。手間がかかってるから。手間がかかってるからって、いま、話しした通り、ぼくらがやっている肥料っていうのは、ほとんど、ただなんです。みんな、糠にしろ何にしろ、みんな、お米屋さんにしろ、全部、話をきいてくれて、馬糞にしろ何にしろ、みんな、ただでくれるんです。そういう肥料代がかかっていないのに、そこのところ、全部忘れちゃって、結局、有機栽培だから高いでしょうというイメージで、農家のほうも動いちゃうんです。でも、違うんですよね。これは、かかってる費用が全然違うんだし、農薬だって肥料だって、馬鹿にならないんです、1年間使うには、化学肥料でも。その部分がないにも関わらず、なんで高く売らなきゃならないのかっていう。じゃなく、いま、ぼくたちがやらなければいけないのは、食べてもらえる世代に食べてもらいたいということなんです。小学校とか中学校とか、(子どもたちが)一番食べる時期に、なぜさ、慣行野菜を食べなきゃいけないんだ。育ち盛りの人に、なんで、食べさせなきゃいけないんだ、そういうの食べてもらわなきゃいけない、なんで、有機野菜を食べてもらえないのかっていったら、高いからなんですよ。やはり、そんなに高いものを、毎日毎日食べれない、いいのはわかっているのに食べれないよっていう人が多いんですよね。そういう人たちに食べてもらおうよって、始めたんじゃないのって、この間も、それで、(仲間内で議論が)熱くなりましたけど。でも、(仲間も)わかってくれましたけどね。

今井:その40人の方たちって、どんなメンバーの方なんですか?

内藤:あのね、去年の秋から加わったのが、約10人ぐらいいます。それで、脱サラ組です。

今井:農家さんたちが集まっている?

内藤:いや、みんな、バラバラです。専業で農家やっているという方は、半分ぐらいかな。専業で農家やっている方というのは、20人ぐらいしかいないです。それ以外は、兼業でやっています。それで、兼業でやっている方も、若い人たちは、兼業なのか兼業じゃないのかわからないんですけど、要するに、まあ、今の時点では食べいけない(方たち)です。食べていけないんだけども、そういう(有機野菜の)ものを作りたい人は、若い人で10人ぐらいいます。もう、生活が成り立っているのかなとおもうぐらい、心配してます。でも、これがやりたいんだって人が、泉区のほうにも、さっきちょっと話した、温室のほうに、ぼくはお願いしているんですが、その人たちは4人いますけど、その人たちは食べていけるかいけないかわからないけれど、基本的には、場所代は、ぼくのほうで払ってやってますので、かかるものとしては、やはり、水代とか燃料費だけだとおもうんですが、そういう人たちが、やはり、そういう人たちもいます。

今井:それは、内藤さんのグループというか。

内藤:そうです。家のグループで、います。

今井:なるほど。

内藤:それが、大体、40人ぐらいですかね。大体、愛川のほうにもいますし。みなさん、やはり、そういう有機野菜、無農薬野菜を作ろうっていう、意識の高い人たちで集まってやってます。

お米づくりとダルマガエル
今井:今回、ぼくらは、お米という言葉をキーワードにして、なにかをやろうとしているんですが、お米と他の農作物って、なにか違いがあるというか、おもっていらっしゃることってありますか?お米作りについて。

内藤:そうですね、基本的には変わらないとおもいますね。ただ、いま、愛川でやっているお米作りというのは、東京ダルマガエルという蛙がいるんですが。

Rana_porosa_porosa.jpgWikipedia「ダルマガエル」より今井:東京、何蛙ですか?

内藤:ダルマガエル。

今井:ダルマガエル、でかいんですか?

内藤:でかいです。その、東京ダルマガエルという蛙を、要するに、保護しようという、ちょっと運動がありまして。その、絶滅危惧種の第2種に入っているんですが、その蛙を保護しようという団体で一緒にやっています。

今井:どうして、保護したいんですか?

内藤:絶滅してしまえば、生態系が変わってしまうだろうとおもってね。

今井:ああ、何か必要なんですか?お米作りに。必要というか、田んぼにいるような?

内藤:そうです、田んぼにいるような。

今井:どんな役割なんですか?

内藤:はい、田んぼの中って、みなさんよくわからないとおもいますけど、ちゃんと自然のバランスがとれているんですね。その自然のバランスをとるために、いろんな動植物がいるんですけど、そのひとつが欠けてしまうと、バランスが崩れてしまうということがあって、そのバランスを崩さないように、その絶滅危惧種の東京ダルマガエルを残そうという。また、危惧種になっているということは、もう、ほんとうに、少ないんですね、蛙(の残りの数)が。その蛙を残すことによって、生態系がちゃんと戻るのと同時に、なくなっちゃったら、元に戻せないので、やはり、なくなるまえに保護しようじゃないかということで、やっている団体です。それは、国のほうからもちょっと借りて、やっていることなんですが、やはり、化学肥料とか農薬を使わないということで。

今井:田んぼの中で、蛙を育てる?

内藤:育てるんです、その一角でですね、実験場になってまして。

今井:じゃあ、お米っていうより、蛙のほうが大切だっていう感じ?

内藤:いや、もちろん、米のほうが大事ですよ。米が大事です、大切、米が大事なんだけど。

今井:じゃあ、お米を作りながら、蛙も保護していくかたちですか?

内藤:そうですよ、保護するのにも、ただじゃできないんです。やはり、お金がかかるんですよね。それで、その保護をするために、お米を家のほうで販売します。それで、その保護を、その団体のほうと一緒に、また、運営資金にします、運動資金にします。ですから、ちょっと、その辺が、営利が入ります。はい、あんまり、きれいごとではないんですが。ちゃんと、やはり、利益を得て、その、あれを護ろうという主旨は守っています。

今井:蛙を保護するために、お米を作っている時って、特に蛙を保護しようとおもうと、どういうふうにプロセスは変わっていくんですか?

内藤:先ずね、さっきも言った通り、除草剤をまけないっていうこと。それから、あと、除草剤をまけないということは、草取りを、全部、手でやらなければいけないということ。それから、あと、化学肥料を入れられないということ。化学肥料を入れられないということは、やはり、有機肥料を前もって入れなければいけないので、冬の間に準備しなきゃいけないんです。

今井:化学肥料を入れると、蛙にダメージがあるんですか?

内藤:わかりません。

今井:ああ、わからないんですね。それで、実験して、失敗したというのは、済まないわけだから、できるだけ、安全なことをやっていくこと。

内藤:はい、それはもう、全然わからないです。ただ、自然のものですから、自然のものを使ってやろうというのは、実際のぼくらの研究の場です。それで、(田んぼの)生態調査をするんですけど、この生態調査っていうのは年に2回ほどやるんです。特に、化学肥料を使って、田んぼを作っているところっていうのは、大体、40種類ぐらいの動植物がいるんですね。それで、無農薬でやると、どのぐらい、いるとおもいます?

今井:どのぐらい、いるとおもいますか?

内藤:動植物の種類が。

今井:100とか?

内藤:普通は、大体40種類、アメンボ入れて、40種類ぐらいなんですが、(無農薬の田んぼには)動植物は、1200種類ぐらい、います。

今井:ああ。

Micromysminutus1.jpgWikipedia「カヤネズミ」より内藤:それだけ、要するに、(動植物を)殺さないと米はできない。それで、殺しちゃうんですね。

今井:うーん。

内藤:いま、家でやっている(田んぼには)蛙の敵もいます。もちろん、蛇もいますし、みなさん、あんまりきいたことがないとおもうんですが、萱鼠という鼠がいます。萱鼠という鼠は、お米を食べるんですよ。でも、子育てをする時にしか、お米を食べないので、基本的には、そんなに食べないんです。一番の敵は、猿です。

今井:うーん。

内藤:猿が山から下りてくるんですけど、(猿が田んぼに入ってこられないように)電柵がずっとあるんです。電柵があるんですけど、どうやって(猿は)下りるかわかります?あの、竹の先っぽを持ってね、こう、すうーと下りる。それで、電柵をまたいで、その上から、どんどん来るんです。それで、彼らは、水が嫌いなんですね。だから、田んぼに水が入っている時って、(お米を)食べないんですよ。それで、食べるのは周り(のお米)だけです。畦のところに行って、全部手で毟って食べるんですね。(田んぼの)中には入っていかないんです。もう一匹、とんでもないやつがいて、猪です。猪は、もう、水があろうと何があろうと、(田んぼの)中で渦巻きのように食べていきます。そうすると、もう、手に負えないので、去年は猟銃会にお願いして、捕らえました。けれど、今年は、まだ、被害を受けていないんですが、まだ、実が生っていないから、わからないんですが、どうなるかは、まだ、ちょっとわからないんですけど。猪は、いま、大変なことになっています。

今井:先週、和歌山に行ってきたんですけど、和歌山の猿も頭が良くて、農家さんが(電柵の)スイッチを切ってから、仕事をするのをみていて、(猿たちが)スイッチを切ったって、いってましたよ。

内藤:ええっ…、ほんとう?

今井:うん、それが、いま、最新情報ですって、猿たちの。ほんとうに、頭がいいんですねえ。

内藤:頭がいいですよ。

今井:ずっと、見ているらしいんです。

内藤:ぼくも、竹の先っぽを持って下りてくる時には、もう、唖然としましたからね。なんで、電柵のこっち側に、こんなに(猿が)いっぱい、いるんだろうっておもったら、もう、30匹ぐらい、みんな、みなさん、食事タイムしてました。もう、逃げないです。あの、人がよっても、全然、逃げないです。

今井:憎たらしいそうですね、お百姓さんから見ると、猿って。

内藤:逃げませんし、石投げても何しても、逃げません。

今井:うーん。

内藤:それで、ボス猿がいるんですけど、もう、ボス猿が(人間の)近くまで来ます、威嚇してきます。それで、ほんとうに、ただ、(猿の近くを)歩くだけなんだけど、怖いんですよ。うわっはは、でっかいんです、犬ぐらいありますからね。

今井:襲われると、恐ろしいらしいですね、猿って。

内藤:怖いですよねえ。ちょっと、電柵のほうも、いま、考えてまして、愛川のほうの役場の人たちは、電柵から2~3mは、全部、草を刈ってくれるようになりました。そうすると、こう、電柵から下りてくることができないんで。あと、一番、やはり、問題なのは、猪。猪は、(電柵の)下を掘っちゃうんで、その後に、猿が来れば、(猪が掘った穴を)通っちゃいます。

今井:ああ、そこを通るんだ。

内藤:通っちゃいます。だから、もう、猪と猿と鹿は、ぼくらの敵です。

今井:鹿もですか?

内藤:鹿もです。

今井:大変なんですね、やはり、その自然の中でやるってことは。

内藤:そうねえ…

内藤さんの野菜たち
今井:今日、ちょっと持ってきていただいている野菜の話をしていただいてもいいですか?

7527068880_IMG_0386.jpg内藤:あの、さっきも、ちょっと話したんですけど、ちょっと変わっている、何人かお得意さんなんで、わかっていらっしゃるとおもいますが、こういう、白い茄子って、あんまり見たことないとおもいますが。

今井:ないです、茄子ですか?これ。

内藤:茄子です。これは、やはり、あまり、市場には出ないんですね。トルコ茄子っていう茄子で、食べるとね、すっごくやわらくて、とろとろします。焼いて食べると、おいしい茄子なんです。それで、ここに、スイヨウ胡瓜ってあります。これは、四川胡瓜ともいわれるんですが、昔から日本で作られている胡瓜で、ちょっと、ごつごつしています。通常の胡瓜と全く違って。

今井:触ってみてもいい?

7589932416_IMG_0387.pdf内藤:どうぞ、どうぞ。これ(四川胡瓜)は、種でやっています。あと、これは、シマオクラというオクラで、丸オクラなんですが、これも種でやっています。

今井:種からって、どういうことですか?

内藤:要するに、固定種です。

今井:あ!先代(の野菜)からとってきている。

内藤:ここにあるやつは、全部、固定種です。

参加者:シマ、シマオクラ?

内藤:一応ね、シマオクラって呼ばれていて、八丈島とか向こうの方が主流になっているとおもいます。東京都って、結構、でかいじゃないですか。

参加者:結構、いろんなものがあるんですね。

内藤:あの、アシタバなんかも、八丈島のアシタバ、すごくおいしいんですよ、ええ。

今井:この中で、内藤さんが一番好きなのは、どの野菜ですか?

7527016704_IMG_0389_zoom.png内藤:ああ、ぼくが大好きなのは、この白茄子とか、冬瓜とか、これはミニ冬瓜なんですけど。この冬瓜なんかは、すごくおいしい。あとね、こういうの、食べたことあります?瓢箪じゃないんです。はい、これは、バターナッツっていって、これは、繊維がすごく細かいんで、これを皮をむいて、切って、ミキサーでかけると、ホイップしたみたいになります。それで、そのまま、スープにして飲みます。スープストックとか要らなくて、塩だけで、充分飲める。みなさんよく知らないだろうけれど、この南瓜、すげえうまいです。

今井:これ食べたいですね、なんていうんですか?

内藤:バターナッツ、うん。

今井:バターナッツ。ああ、味がそんな感じなんだ。

内藤:そうなんだ。

今井:ああ。

7527069600_IMG_0391_zoom.png内藤:それで、あと、こういうのも。ちょっと、変わってますけど。これは、南瓜なんですけど、プッチーニっていうんです。

今井:かわいい、名前ですね。

内藤:はい、これは、このまま、電子レンジに入れちゃって。切って、中をとって、このまま、電子レンジに入れちゃって。
やわらかくて、すごくおいしい。

今井:皮ごと?

内藤:皮ごと、食べられます、はい。

今井:南瓜みたいなんですか?

内藤:南瓜です。

今井:うーん。

内藤:これは、雪化粧、みなさん、よく知っているとおもいますけど。北海道原産なんですが、この辺でも、最近、植えつけられています。これも、種からやってます。ミニ冬瓜っていうのは、なかなか、ないんですけど、種は見つけてきたんで、今年から、ミニ冬瓜はやっています。でっかい冬瓜だと、食べきれないんです。

今井:ああ。冬瓜って、どうやって食べたらおいしいんですか?

内藤:もちろん、魚かなんかと一緒に炊いてもおいしいし、挽き肉とかなんかと、一回、火を入れて、冷ましてから、食べてもおいしい。冷たくしても、おいしい。

今井:おばあちゃん家でしか、食べたことないですね。

内藤:大根、いまの時期だと、大根がないんですよ。大根の代わりになります。いまの時期は大根がないので、もうちょっと経つと、大根が出てきますから、冬瓜は、もう、終わります。

参加者:お味噌汁の具にすると、溶き卵を入れて、味噌汁でもおいしい。

今井:へえ。やってみよう。内藤さんは、お店は、何処で出していらっしゃるんですか?

内藤:まあ、一応、徳多朗のパン屋さんの前で。

今井:ご存知ですかね。徳多朗、あざみ野の奥のほうなんですけど。

内藤:あと、たまプラーザの商店街の中でやらせてもらってます。

今井:車がある方は、ぜひ。

内藤:来てください。いま、徳多朗のパン屋さんと、2ヶ所だけですね。

今井:2ヶ所?徳多朗さんと?

内藤:その中央商店街の。

今井:あ、中央商店街。たまプラーザの中央商店街ですか?そこから、始めたんでしたっけ?

内藤:いや、始めたのは、徳多朗さんで、始めた。

今井:あ、そうですか。 

内藤:徳多朗さんの、副社長のクミコさんが、クミコさんっていうんですけど、この人、家の野菜がすごく好きで、畑によく買いに来ていたんですね。それで、「家の前で、やんない?」ってことで。8年、9年ぐらい前かな。あそこが、できた時です。できた時に、写真をみせられて、独逸のマルシェとか、仏蘭西のマルシェの写真をみせられて、「こんな感じでやって」とかいわれたけど、全然、無理でした、あは!全然、無理です。あれ、すごいですよねえ。絵になってね、アートですよね。ああ、ああいうの、ちょっと、無理なんで。こんな感じでいですよ。それで、始めたのが切っ掛けです。

今井:それは、八百屋さんのイメージなんですか?

内藤:そうなんですよ。

今井:恰好いいんですか?市場の八百屋さんじゃなくて?

内藤:いや、市場じゃなくて、パン屋さんの前に必ずあるらしいんですよ。

今井:あ、セットなんですか!?パン屋さんと八百屋さんって。

内藤:あの、八百屋さんっていうのは、そう。野菜とパンというのはすごく相性がよくて、野菜とパンというのは、大体のお店で、大きなお店さんでやってたということだったので。

今井:あ、そうですか。

内藤:それで、その写真を見せられたんですけど。いや、すごいんですよ。ほんとうに、川が流れるように、こう、いろいろと盛りつけてあって。もう、きれいなんです。いや、それは、無理です。ぼくには、才能がないので。だから、「店の前に出して、売れないか」ってことで、出しました。だから、徳多朗さんの野菜も家のほうで、提供しています。だから、胡瓜にしろ、玉葱にしろ、じゃがいもにしろ、すごく、味が濃いからっていうことで、勧められました。


農業の未来

今井:なんか、いままで、きいたお話の中で、こんな考えが出てきたとか、こう、おもってるんだけどとか、でも構いませんし、なにか質問とか、聞きたいことが出てきた方は?あ、彼は、参加作家の松本さん。

松本(参加作家):あの、テーマに、今日のテーマに「これからの農業」という言葉が入っていたので、それについて、おうかがいしたんですけど。いままで、聞いてきた中で、この間、初めて、テレビ番組で、食べ物じゃないんですけど、ソメイヨシノが、たまたますごいきれいな(花)のができたから、それを掛け合わせでやると、さっきお話にあった、違う種が(次の世代に)できてしまう。だから、あれは(現在の全てのソメイヨシノは)一本の(桜の)樹からのクローンなんだという話を聞いて、やはり、こう、さっき、同じかたち、製品、そういうのが流通するんだというお話があったのと。
これからは、こう、昔ながらのバランスが取れたやり方で、おいしかったりおいしくなかったりするものもつくっていくという話がミックスして、どうして、こう、我々って、おいしいものを、虫と一緒で、食べたいんですけど、同じ味を追求してしまうというところに、ちょっと、根っことかがある、人間のそういう、おもう。我々アーティストも、よく、滞在制作で、違う土地に行って、作品を作ったりしたことの意味、たとえば、行政のプログラムだったりすると、なかなか、(効果を)認めてもらえなかったりするんですけど。こう、数値化できないことをやっていると、すみません、長くなってしまって。これからの農業は、そういう根っこの部分を、こう、やれていくのだろうかと、共感して。

食物自給率20%
内藤:…うん。あの、日本って土地が少ないから、野菜というか、農地が少ないから、外国から輸入するという話をよくききます。それでまた、外国の野菜というのは、ものすごく安いんですね。なぜかといったら、そういう広い土地で、広い機械でやって、それは、人件費も違う、物価も違うというふうになれば、やはり、物価の安いところの物を、物価の高いところで売るというのは、必然的だとおもいます。

R0132574.pdfそれで、日本が、いま、40%切ってますよね、食物自給率ていうのが。それには、ぼくたちが食べるものが40%あるって、おもっちゃだめです。牛や鳥や豚なんかが食べる野菜も含めて、40%です。だから、野菜を食べる量としては、もう、20%ぐらいしかないと、ぼくはおもいます。その中で、じゃあ、日本で作らないで、他(の国の農作物)でまかなって、日本の食卓が全部、間に合うのかっていたら、ぼくは、絶対、間に合わないとおもいますし。

また、今回、みなさん、痛いおもいをしたとおもうんですが、産地を日本の中でも決めてしまうんですね。たとえば、大根の産地、キャベツの産地とか、何々産地って、全部、決めてしまうんです。それには、もちろん、輸送コストを下げることにもなるし、作るコストを下げることにもなるし、それで、いろんな面で、産地を決めたほうが、安く手に入るわけです。安く手に入るから、そういうふうに産地を決めてやるんですけど、ただ、その産地が、もし、大災害が起きた場合、干ばつになった場合、大雨になった場合。

今井:ああ。

産地、を決めない
内藤:品物が、なくなったでしょう。去年の暮れのことを覚えています?白菜が、すごく高かったでしょう?キャベツが、すごく高かったでしょう?ああいう事態が、必ず、起きます。これから、絶対、起きます。それと同じように、世界でも同じことが起きている。やはり、それなのになぜ、こういう土地が空いているのに、自分たちで、自分たちの目の前で作らないのか、ぼくは不思議です。だって、そういうことが、もし、起きた場合、もう、それからじゃ、手に負えませんからね。土作りとか畑作りとかは、何年もかかることですから。そういうことを、ちょっと見直したいなというのは、まあ、ささやかな気持ちです。目の前で、だから、ぼくは神奈川県にこだわっているのは、全部、自分たちで手に入れられるから、こだわっているんです。別に、無農薬で作ったって何したっていいとおもいます。ここから、北海道までとりにいく、九州までとりにいくというのは、先ず、無理です。だけど、ここから、愛川までとりにいくことはできるし、ここから、泉区までとりにいくことはできます。だから、神奈川県でできるものは、自分たちの目の前でできるものは、もっと狭くいえば、この恩田町だけでいいんですよ、全部、作っちゃえばいいんですよ。そうすれば、恩田町に住んでいる方は、全部、自前の野菜で済むわけでしょう。そういうことができる態勢って、なんか、良くありません?なので、ぼくは、ちょっといいような気がするんですけど。やはり、輸送コストをかけて、わざわざ遠いところから仕入れるんじゃなくて、それを自分たちでもって、身の回りでもって作れるシステムができると、いいよなっていうのが、ぼくの気持ちです。

内藤:と同時に、やはり、季節感が出るとおもいます。此処の場所と、長野と、北海道では、季節感が全然違います。だから、大根が食べたいなとおもっても、キャベツが食べたいなとおもっても、一年中食べられるのが、其処にあるんですね。それを、うまく、周りの人たち、バイヤーも含めて、生活をしている人たちがいっぱい、いるんですけど、そういうふうにして、一年中食べられるものを作って、もちろん、温室とかそういうものもあるんですが、食べられるものを作って、需要を供給して、みなさんに満足してもらうという気持ちは、たぶん、あるとおもいます。それで、生活が成り立っている部分もあるとおもうんですが、それを要求している、ぼくらも、正直言って、あんまり、良くないんじゃないかとおもいます。やはり、さっきいったように、季節ものは季節もので食べるというのが、一番大事なことで、真冬に茄子や胡瓜を食べても、おいしく感じないと、ぼくはおもうんですが。胡瓜と茄子は、沖縄でも作れます、真冬に。運ぼうとおもえば、運んで来られます。温室があればできます。同じ条件を作ればいい。でも、そういうことじゃないとおもうんで、それと同時に、さっきに戻りますけど、産地を決めるということが、あんまり、いいことじゃないんじゃないかと、ぼくはおもいます。何かあった時に、そのものが、全くなくなっちゃいます。だから、今年の冬、何がなくなるか。

今井:予想できるんですか?

内藤:予想できます、大体ね。この暑さで、ずっと続けば、もう、冬野菜の苗は作れませんから。気温が30℃以下にならないと、発芽しませんので。キャベツ、白菜とかね。ほんとうは、27℃か28℃でないと、発芽しても、すぐ枯れちゃうんです。だから、もうちょっと、気温が下がってくれるとうれしいなと。それで、いま、植えないと、大体、80~90日ぐらいかかりますので、9月の頭に植えるとしたら、12月になるんですね。だから、9月の頭に植えられないとしたら、年越しちゃいます。それを、それを頭のいい人たちは、うまくやる人もいますけど、でも、実際は、そういう傾向になりつつありますね。日本の気温もそうだけど、陽気も、だいぶ変わって来ています。毎年毎年、農業手帳を作るんですけど、温度が、全然、違います。去年は、今頃は、雨が多かったとおもいます。ですから、寒くなっちゃったんです、もう、8月の半ばぐらいには、もう、9月ぐらいの陽気だったんで。もう、それでもって、苗を作るのも遅れちゃって。結局、苗を作っても、みんな枯れちゃったってことになって。結局、白菜、キャベツ、大根が滅茶滅茶(値が)上がっちゃったでしょう。それで、その後に、たしか、大雨が降ったんじゃないかな。それで、一回、流されちゃったんですね、三浦なんかの種が、大根の種が。それで、植え直した部分が、やはり、1ヶ月ぐらい変わっちゃったていうのがあって。だから、野菜は、本当は自分で作ったほうがいいかもしれません。

今井:あ、それぞれのお家でですか?

内藤:そうです、そのほうが、できれば。ぼくらの商売が成り立たなくなっちゃいますけど。あはは。

今井:でも、全員がやるわけじゃないから。

内藤:ははは。だから、それでも、家は、正直言って、値段を滅茶滅茶上げないでやってきたんです。農家の人たちに、いま、値段を上げて、足元を見るよりは、長い目で見ようと。

今井:うーん。

内藤:それが、いま、功を奏して、たくさんのお客さんに利用していただけるということが、すごくうれしくて。なかなか、でもね、大変ですよ。キャベツ1個400円とか500円とかしましたから。

今井:しましたね。

内藤:その時に、これ、200円で売ろうよ、300円で売ろうよっていった時に、うんって、いわないですよ。背に腹はかえられないですからね。でも、先のことを考えれば、いま、200円余計に儲けても、先を見たらそれ以上に儲かるからって、話(する)しかなかったですね。それで、(農業を)やめていった人もいます。3組ぐらい、います。でも、それで、つながっている人もいます。だから、ほんとうに難しいです。でも、やりがいのある仕事だなあって、おもってるし。これから、またまた、いろんなことがあるから、応援してください、よろしくお願いします。そんなもんでいいですかね。ははは。

今井:はい、長い間ありがとうございました。じゃあ、ほんとうに長い間おつかれさまでした。何か、聞きたいこととかある方、まだ、お時間、もう行かれますか?

内藤:いいです、いいですよ。

今井:おいそがしいとおもいますので。まだ、しばらくいていただけるそうなので、もし、聞きたいこととかある方は、質問して、お話きいてください。あと、なんか、トマト持って来ていただいて。

内藤:あ。そう、あの、ミニトマトあるんで、帰り、1袋ずつ持っていってください。それで、愛川で作ってる、鈴木というのがやってるんですが、そいつも、ぼくの意見と全く一緒で、無農薬でやってる方なんで、とっても、ほんとうは、此処に連れてきたかったんだけど、ちょっと今日は用事があるということだったんで。あの、とても気さくな、いいやつです。真面目な方で、やってます。

今井:もう、お帰りの時は、ぜひ。

内藤:持っていってください、ええ。

今井:では、いったん、これで閉めます。ありがとうございました。


青葉グリーンファーム(facebook)
ベッカライ 徳多朗(facebook)