都筑アートプロジェクトは町を掘る、とは何か

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都筑アートプロジェクトは町を掘る、とは何か
もう一つの発掘作業

 普段は気にも留めていない身の回りのモノゴトの成り立ちを考えてみると、その多くに何らかの歴史的な背景があることは何となく分かります。例えばお金、食べ物、本、服、普段話す言葉。自身の身体にも進化の長い時が刻み込まれていますし、私たちが暮らす町にもまた長い土地の歴史があります。通常、歴史家や郷土史家、考古学者などが、古文書や遺物から地域の歴史を描き出し、そこから私たちはその時代や当時を生きた人々のことを漠然と想像しています。

 都筑アートプロジェクトは、考古学者とは違う方法で町を掘ります。何かのきっかけで、身近な町の風景のなかに遠い過去との深いつながりを見いだした時、モノをつくるニンゲンはそこに「かたち」を与えようとします。つまり歴史という物語とどう繋がることができるのかという問いに対し、それに答えるための様々な表現を生み出そうとするのです。例えば絵画、彫刻、デザイン、工芸、詩、舞踊、音楽、演劇。時には既成のジャンルからはみ出た表現にもなります。これらの試みは忘れられた歴史を直感的に、再び活き活きとした姿で甦らせ、今という時代を遠くからのまなざしでくっきりと映し出そうとする、もう一つの発掘作業と言えるかも知れません。

 都筑アートプロジェクトでは、これまで10年以上に渡って、ニュータウンにある江戸期の古民家や弥生時代の復元遺跡での展覧会、新しい町の高架下と遺跡を繋げる展覧会などを行ってきました。これらの活動から、何気ない風景の中には実にたくさんの歴史のかけらが眠っていて、遺跡や古民家は言うまでもなく、地域の神社や寺、昔話、地名や道などから歴史とつながる場所の面白さに気づかされました。同時にこの活動を通して、おそらく敗戦や戦後の経済発展の過程で広がった歴史の断絶や歴史感覚の喪失という問題も浮かび上がってきました。都筑アートプロジェクトが取り組む「発掘」は、芸術と歴史を仲立ちにした交流の場となって様々な議論を掘り起こし、そこから生まれる新たな表現を発信していく拠点となるのです。
                                       都筑アートプロジェクト発起人/美術家・金井聰和


都筑アートプロジェクトは町を掘る0_3_tsuzuki.png筑アートプロジェクトは町を掘る

 「アートプロジェクト」が「町を掘る」とは、一体どういうことなのか。しかも「都筑」という場所で行われるらしい。
 どんなプロジェクトなのかを想像しながら、わたしは筆を右手にとった。紙と墨の出合い、触れ合う速度。いつもわたしたちは一期一会の重なり合ったこの世界にいる。松本力さんの撮影した都筑の仄暗い空にその時の文字が舞うことになった。掘るという行為を、空から眺めるというのか。
 さまざまな芸術が混じり合い掘り起こす行動が、この町の其処此処で湧くのが楽しみだ。

書道家/篆刻家・桃空